大工さんが長さや面積などに使っている単位を尺貫法と言います。いわゆる1尺とか1寸という単位です。
私たち大工経験者にとって当たり前の寸法なのですが、一般的には「それって何センチ?」となりますよね?
そこで、大工さんが使っている単位の説明とDIYで使うならどっちの単位が良いか?をどこよりも詳しく解説します。
1寸1尺って何センチ?
最も基本となる単位が1尺になります。30.3cmになるんですが、正直こんなにも細かいん数字なんて覚える気にもなりませんよね。
大工にも1尺を30.3cmなんて感覚は無くて、1尺は1尺の長さで覚えています(笑)
だからあくまでも単位として考えられると違和感が無くなるかもです。
1寸→ 3.03cm
1尺→ 30.3cm
だから5寸と言われたら5×3.03cm=15.15cmなんてことを考えずに5寸の寸法を頭の中に思い描きます。
これってメートル法より3倍適当ってことです(笑)
1cmが基準のメートル法より3cmが基準の尺貫法の方が感覚的に長さを把握できます。
例えば4cmと聞いて正確に4cmを思い描くより、3cm(1寸)か6cm(2寸)を思い描く方が簡単だと思います。
大工の基準単位は3cm(1寸)なので慣れればこちらの方が直感的に作業がしやすくなります。
1間って何?
では「1間」とは何?
1間とは6尺の事です。ますます分かりずらいですね(笑)
181.8cmになりますが、何故わざわざ6尺を1間なんて言い方をするのか?
それは住宅が6尺を1つの単位で考えられて作られているからです。
もっと詳しく話すと住宅は3尺(0.5間)、6尺(1間)、9尺(1.5間)12尺(2間)・・・・・・
という単位で考えられます。簡単にいうと柱の位置が上記の寸法に配置されるからです。あなたの家の大きなサッシ窓の幅は6尺(1間)になっています(メーターモジュールの場合は除く)
住宅のように大きなものを作る時に48尺(約14.5m)などと言うと分かりずらくなる為、8間と言うようになりました。DIYではそんなに大きなものを作ることがないので覚える必要はありませんね。
1帖(畳)って何?
8帖の洋間とか6畳の和室などと言いますが、では1帖(畳)ってどれくらいの広さ?
1帖とは3尺×6尺のことで90.9cm×181.8cmの広さの事です。
先ほど話したように住宅の基本が3尺と6尺なので、住宅の広さからできた単位です。
1坪って何?
住宅の面積に使用される単位ですが1坪とは2帖(畳)の事です。30坪の住宅は60帖あるということです。
違う言い方で表すと「1間×1間」です。181.8cm×181.8cm=約3.3㎡
こちらもDIYでは全く縁のない単位ですので覚える必要はありません。
豆知識
ここで尺についての豆知識を少しお話ししますね。
最も落ち着く比率
西洋ではメートル方が一般的ですが、何故、現在でも尺を基準とした家を作っているのか不思議じゃないですか?
諸説ありますが、先ほど話した1帖の広さ3尺(90.9cm)×6尺(181.8cm)が日本人にとって最もバランスの良い、落ち着く割合だと言われています。
和室の入口の開口もこの寸法で出来ている為、日本の住宅はこの3尺×6尺に囲まれています。それをメートル法の1m×2mにすると落ち着かないという潜在意識が日本人にはあるそうです。
最近はメーターモジュールの住宅が増えてきて、その感覚が薄れてきていますが、日本人にあった寸法になっているわけです。
あなたの家は?
あなたの家が尺貫法かメートル方かを調べる方法があります。
もちろん図面を見て寸法が1,000だったらメートル方で909か910であれば尺貫法なのですが、図面を無くしてしまった場合の調べる方法もあります。
それは部屋の入口の幅を測ればすぐに分かります。できれば2階の子供部屋などのあまり大きくない部屋がよいでしょう。
幅が680~760くらいだったら、あなたのお家は尺貫法です。
幅が780~850くらいだったら、あなたのお家はメートル法です。
これを知っておくと棚などを壁に取り付ける時に下地があり場所が予想できるので是非調べておいてください。
DIYでおすすめは?
最後にDIYで使う工具の中にスケールとさしがねがあります。
この2つは尺かセンチかを選べる事ができます。ではどちらを選べばいいのか?
私の答えは尺です!
理由は先ほども話しましたがメートルは細かすぎるという点が挙げられます。材料の寸法を測る時にミリまで計測しなければいけません。
これがやってみると細かくて大変です。実際に1ミリ2ミリくらいは問題ないので、尺のスケールとさしがねを使ったほうがいいと思います。
また、メーターモジュールの家が広まったとはいえ、まだほとんどの家が尺貫法で出来ています。
棚の取り付けや家具を作る際に尺の方が相性がいいです。
住宅が尺で出来ているのですから当然です!
強制ではないのであなたが使いやすい方を選んでもらって構いませんが、是非、尺にチャレンジするのもアリかと思いますよ。